三重県伊勢市古市。大林寺は信空大和尚が寛永2年(1625)に開いた浄土宗西山禅林寺派のお寺でございます。
伊勢神宮へのおかげ参りが盛んだった江戸時代。神宮への街道沿い 遊廓地として賑わったここ古市。日本三大遊郭の一つとして知られ、「参宮客の精進落とし」などと称し「伊勢参り、大神宮にも、ちょっと寄り」という川柳が残るほどに、歓楽街として活気に満ち溢れていました。
また、古市三座と呼ばれる芝居小屋が建ち、「伊勢の古市で評判をとらなければ、京、大阪のヒノキ舞台は踏めない」と言われるほど、古市は役者の登龍門 。伊勢歌舞伎、浄瑠璃、芝居とたいへん盛んでした。この当時、日本全国の文化、芸術がここ伊勢の地に集まり、そして全国に配信されていきました。
境内には、歌舞伎狂言「伊勢音頭恋寝刃」として今に伝えられております 遊郭「油屋」で起こった刃傷沙汰「油屋騒動」のお紺と孫福斎の墓「比翼塚(ひよくづか)」が建ち、供養しております。
また愛染明王(あいぜんみょうおう)は遊廓街の古市にあって、遊女たちの守り神として信仰がありました。現在でも水商売等に携わるかたがたのお参りも続いています。