◆歌舞伎「油屋騒動

寛政8年(1796 年)5月4日夜更けに起こった『油屋騒動』(江戸の吉原、京都の島原と並んで三大遊郭の一つといわれた古市で起きた刃傷事件)をもとにした有名な歌舞伎狂言劇です。

事件は27歳の町医者・孫福斎(まごふくいつき)という男が、古市有数の伎楼「油屋」で、なじみの遊女、お紺(16歳)をめぐり、恋の嫉妬に 狂い、刀を振り回し、3人を斬り殺し、6人を負傷させたというもの。

斉(いつき)は後に自殺(27歳)。お紺は49才で病死します。

 

◆伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば) 

※歌舞伎「油屋騒動」の錦絵 左から福岡貢、お紺、料理人喜助

この騒動は、たちまちにして大阪に伝わり、道頓堀の劇作家  近松徳三の知るところとなり、数日にして切狂言にしくまれ、伊勢音頭恋寝刃 (いせおんど  こいのねたば)と題し、福岡貢(芝居での孫福斎の名前)を三代目  阪東彦三郎、お紺役を嵐大三郎、おしかは市川市蔵 まん乃は中村雀右衛門 料理人 喜助は市川滝十郎で寛政八年七月に大坂の角座で上演。各地で好評を博し、伊勢音頭油屋騒動は広く世に紹介されることとなりました。

◆油屋

油屋は備前屋・杉本屋 ・千束屋などとならび、当時、特に有名な遊郭でした。
今ではその面影すら残ってはいません。石碑などでその場所を偲ぶくらいです。
妓楼(旅館)油屋の跡。現在は中華料理店になっています。

◆油屋騒動の「孫福斎」と「お紺」の菩提を弔う比翼塚  (ひよくづか)

主人公「孫福斎」と「お紺」の菩提を弔う比翼塚  (ひよくづか)。向かって左がお紺の墓 右が孫福斎のはか、真ん中は六地蔵

今でも歌舞伎をはじめ舞台などで「油屋騒動」が演じられる時などには 出演する役者さんなどがお参りに来られます。

 

 

 

 

◇写真は昭和8年、盛大な供養式典の模様

お紺、斎の比翼塚、斎の碑を宇治今北山墓地の同碑から書写して新調し、関西歌舞伎の雄で貢役として最も定評のあった実川延若を施主として、同じく彦三郎のお紺と並べて比翼塚としました。碑前に愛染堂を設置し、賽銭箱を置き、表通りに至るまで関西歌舞伎の名優連寄贈になる行灯を揚げられました。

昭和8年には折りよく世界館の来演の実川延若を迎えて盛大な供養式典が行われました。

 

 

 

 

 

 

◇昭和62年  森光子さん 竹脇無我さん

●昭和62年森光子さん主演により東宝宝塚が上演した「伊勢音頭恋寝刃」(脚本・小幡欣治)の際の訪問。 神妙な面持ちお参りされる竹脇無我さんと比翼塚に手を合わす森光子さん

◇平成10年8月24日 宮本信子さん 星由里子さん

●宮本信子さん主演による 舞台 京都南座錦秋特別公演 「油屋おこん」 (作・小幡欣治 演出・本間 忠良)の際の訪問

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇平成12年9月28日 篠井 英介さん

●宗家藤間流の名取であり、「ネオ歌舞伎」と言われた。花組芝居の名女形としても活躍。歌舞伎にも造詣が深く、現在はテレビ、CMなど個性派の俳優さんとして活躍されています。この時はテレビでの取材での訪問でした。

 

 

 

 

◇2015年9月11日 歌舞伎役者 尾上菊之助さんら参拝

●2015年10月5日~27日名古屋で開かれる御園座の歌舞伎公演「錦秋名古屋顔見世」の演目の一つ「伊勢音頭恋寝刃」の成功を祈願して、歌舞伎俳優の中村時蔵(59)さん 尾上菊之助さん(37) 中村梅枝さん(26)が比翼塚を参拝されました。。